難攻不落な彼に口説かれたら
片岡君にそう言われたけど、自分でもどうしていいかわからなかった。

でも、彼は終始優しく私をリードしてくれた。

「雪乃」

片岡君が私の名前を愛おしげに呼ぶ。

それがすごく嬉しくて、彼にギュッと抱きついた。

女として生まれて、すごく幸せを感じる瞬間。

「俺のことも名前で呼んで」

片岡君にそう言われ、少しハニカミながら「仁」と彼を呼ぶ。

〝いい子だ〟とでも言うように、彼は優しく私に口付ける。

こんな風にずっと彼といれたらいい。

夢なら覚めないで……。



「う……ん」

寝返りを打つと、何かがギュッと私を抱き締めた。

違和感を感じて目を開けると、目の前にはよく知った綺麗な顔。

……片岡君?
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