例えば君に恋しても
君のいない時間


つい昨日まで毎日が早送り再生のようだった・・・。


微睡みのなか、目を醒ました私の視界に広がっていたのは、御曹司の部屋だった。


やっぱりこれが現実なのか・・・

まだぼんやりしてる頭の中で、退去したばかりの瑛士さんとのあの部屋を思い出していた。


3LDKのあのマンション。

入居した朝、まだ荷物が届く前の空っぽの二人の愛の巣の中で

赤ちゃんができたらこの部屋を子供部屋にしよう。だとか

まっさらなキッチンに立って、料理するフリをする私に「どんな料理人の料理も美織の料理には敵わないだろうな」なんて、キザな台詞。

振り返ると穏やかな笑顔の瑛士さんの瞳。


本当に


あの日々が

あの幸せがもう戻ってこないのかもしれないということが信じられない。


まだ悪夢の途中のようで

携帯を一瞬、振り返った。



連絡もとれないのに

まだ

騙されたなんて信じられないでいる私がいる。

連絡がとれない理由があるようにしか思えなくて


こんな所に身を置いてることが正しいのかも分からなくなりそう。


「・・・だって、私は瑛士さんのこと」

まだ好きなんだよ。







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