例えば君に恋しても


「申し訳ないよ」

「いや、実際に人手の足りない所はあるんだ。

市橋グループの中でも小規模で、あそこの社長を受け継いだのは、長年勤務していた人のはずだし。」

「社長?新一さんが社長になるんじゃないの?」

財閥だとか実際によく分かってない私は、よく分からずに新一さんの顔を覗きこむ。

すると彼は可笑しそうに「まさか」と笑って続けた。

「事細かに説明すると大変になっちゃうから簡単にね。

とりあえず市橋と名のつく会社は全て市橋グループなんだ。

一人で全ての会社を引き継ぐことはできないよ。

たぶん、美織ちゃんが言ってる跡取りの話は、父親が亡くなった後の市橋の当主の件だ。」

「へぇ・・・」

規模の大きすぎる話に頭がついてかない。


「嫌みに捉ええないで欲しいんだけど、そんな風に僕達兄弟も市橋グループの中で別々に働いてる。

一番下の弟もそうなると思う。

で、誰とも関わらずできる仕事で、尚且つ人手が足りないのは・・・」



そう言いながら私に携帯の画面を見せる。


それはコンビニでも買える求人雑誌のサイトだった。









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