My.doctor…?
「まずい。なんとか吸入させないと」



ひとまず車を路駐させ
吸入器を咲桜ちゃんの口に当てるが…



「ゲホッ、ゴホッ、ゴホッ…」



咳に邪魔され
吸ってくれない。

発作時に息を吸えっていうのは
確かに酷(コク)な事だ。



「死ぬなよッ」



吸入器を咲桜ちゃんの口元に当てたまま、俺は車を出した。



***



病院に到着すると
駐車場までは行かず
夜間救急外来の入り口に横止めした。


すぐさま咲桜ちゃんを横抱きし
処置室へと急いだ。



「速水先生!?」


「頼むッ!酸素と点滴用意してくれッ」



廊下で会った夜勤の看護師に
必要な物を頼んだ。




彼女を運ぶ最中
腕の中で激しく咳をする彼女は
徐々に呼吸が変わってきた。



「マジかよッ」



呼吸困難を起こしていたんだ。



「クソッ!しっかりしろッ」



咲桜ちゃんを処置室のベッドに座らせ、俺は自分の左腕を後ろにまわして彼女の体を支えた。



「先生ッ、酸素の準備が出来ましたッ」


「あぁ」



看護師から酸素マスクを受け取ると、咲桜ちゃんの口に当てる。

それから点滴も始め
脈を測りながら様子をみた。




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