うつりというもの
弘前市内ホテル2階レストラン


朝食は2階のレストランで取ることになっていた。

「みんなよく眠れたか?」

案内された席に着くと、教授がみんなの顔を見た。

遥香達はそれぞれの感じで頷いた。

目の前に朝定食が運ばれて、従業員が頭を下げて行った。

教授はそれを目で追うと、「とりあえず食べるか」と、箸を手にした。

遥香はあの少女のこと、教授はこれからのこと、忍は遥香のこと、季世恵は何も考えずで、それぞれ黙ったまま食べていた。

「ん?何だ、みんな暗いな」

教授が、玉子焼きに箸を伸ばしながらみんなの顔を見た。

「いえ、そんなつもりはないですよ。あ、忍ちゃん、玉子焼きちょうだい」

「あ!それ俺の大好物だってばー」

「いいじゃん」

遥香は取った玉子焼きをぽいっと口に入れた。

「あー!ほんとに食べるんだもんな…まじかよ」

「渕上さんは、佃煮食べないの?」

「あ、はい。いいですよ」

「じゃあ、もらうわね」

教授は、あっそ…という感じで、玉子焼きを口に入れた。


食事が終わって、各自準備をして、ロビーに集まった後、車に乗り込んだ。

遥香は助手席に座ったが、車内を見回していた。

「ん?どうした?」

斜め後ろに座る教授と目が合った。

「いえ、別に」

「じゃあ、最初の目的地に行こうか」

教授は忍の座る運転席をポンと叩いた。

「はい」

忍は周りを確認して車を発車させた。
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