甘え下手の『・・・』
「だからさ、あれは筧くんがフラレた私を慰めてくれただけなんだよ。それを、真由香や橋本くんが本気にしちゃっただけなの。きっとそうなの」

空になった真由香のジョッキを端に寄せ、ドリンクメニューを差し出した。私も残っていた中身を飲み干し、一緒にのぞきこむ。

「ねえ?柚子酒って言いづらくない?ゆじゅしゅってなっちゃう」

ケラケラ笑う私とは正反対に真由香は不機嫌だ。

「それでいいわけ?」

「うん、ゆじゅしゅサワーにする」

「そうじゃなぁい!」

メニューで頭を叩かれた。

「痛いよ!」

頭を押さえ抗議すると

「瑞希はそれでいいの?ってきいてるの!酒のことじゃないよ、筧くんのこと!」

真剣な目をして問いかけてきた真由香に、私は両頬をピシッと叩き、姿勢を正した。

「私と筧くんは同期。橋本くんや真由香とおんなじ、大事な仲間だよ」

真由香の目をみてはっきりと答えた。

「だからそこから進展する気は瑞希にはないのか?って聞いてるの、私は」
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