【完】螺旋のように想いを告げて



 ・・・



 ここは俺の家。それは間違いない。



 今は朝で、出勤前の母さんの姿もキッチンにある。確かなことだ。




「おばさん、この卵焼きおいしい! もしかしてだし巻き卵?」

「そうよ。咲良ちゃん今度作ってみる?」

「教えてくれるの?」

「いいわよ」

「やったー!」




 俺の大好物のだし巻き卵にかぶりついてるのは咲良。左手には俺のお茶碗。味噌汁まですすっている。



 待てよ。使ってるのは俺の箸じゃないか。



 お前は雨宮亮ではないだろう。一ノ瀬咲良だ。




「俺の飯は?」




 極力、穏やかに聞いてみたものの無視された。
 女子トークの真っ最中に話しかけた俺が悪いのか。



 いや、勝手に人の飯を食う咲良はなんだよ。お前、すでに食ってきたんだろ。

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