【完】螺旋のように想いを告げて


「祐介、お疲れ様」

「亮! 本当に咲良ちゃん、なんとかしてくれよ」

「知るか」




 その時、咲良の手が黒の石を次々と返していることに気づいた。パチパチと教室に響く軽快な音が止まらない。




「は……」

「咲良ちゃんの逆転ですよ」

「待て、待て!」

「待ったなし!」

「あー!!」




 ほとんど白に埋め尽くされてゲームオーバー。また負けた。



 何度もこのボードゲームで咲良と戦ってきたが、一度も勝ったことないとか、シャレにならない。




「終わっちゃったな」

「帰るか」

「なあ、久しぶりに3人揃ったんだし、昼くらい食べに行こう!」




 祐介の誘いに、咲良の顔がぱっと明るくなる。
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