【完】螺旋のように想いを告げて
時を超える約束
***
『亮ちゃん! 亮ちゃん!』
お互いにまだ保育園児だった。
その日は咲良の家にいた。
まだ新築のいい匂いがして、整理されていない段ボール箱が山積み状態。
咲良の家族が一軒家に引っ越しをした日。
荷物の整理に俺の家族が手伝いに行っていた。
咲良の部屋には女の子らしくないミニカーが並び、段ボール箱の一部は手作り電車。
女の子の部屋とは思えない。
『ねえ、聞いてるの?』
『聞いてない』
『聞いてるじゃない!』
『あー。聞こえない、聞こえない』
『亮ちゃん!』
あんまりお喋りで、面倒だなぁとか思っていた。
『ウチ、きれいでしょ!』
『新しいから当たり前だろ』
『ほんとだねーとか言えないの?』
『言わない』
『そういうのひねくれ者って言うんだよ』
はい、はいと俺は空の段ボールを被る。