【完】螺旋のように想いを告げて
初めて自分以外の誰かに話す。
俺がどうしていたかを話す気になったのは、咲良の思い出に背中を押されたから。
「地元に帰る余裕はない。きっと卒業まで」
悲しい顔をする咲良に、俺は心を鬼にするしかなかった。迷っている場合ではない。
「挑戦したいことがあるんだ。悪いけど、俺が帰るまで待ってくれないか」
「嫌だよ」
咲良は駄々をこねるような奴じゃない。
でも、久しぶりに会えて嬉しかったんだと思う。
大学をサボってまで来たんだ。それだけ咲良が想ってくれたこと、少しは理解出来ていると思う。
「嫌だ!!」
咲良の中で、何かが切れてしまった。
嫌だと言った呟きが、いつの間にか叫びになっていた。