【完】螺旋のように想いを告げて
「その前に頼みがあるんだ。俺がこっちに帰ってきてること、咲良には言わないで欲しい」
理乃ちゃんは黙ったままで俺を見つめる。
何かを探られているようで居心地が悪い。
言い訳を探しているうちに、理乃ちゃんのため息が先に聞こえた。
「あんたたち、何かあったわけ? 咲良に聞いても笑うばかりで教えてくれない」
「いや、特に……」
「無いわけがない。ま、聞かないけどさ」
聞かないのかよ。
緊張してドキドキしたんだが。どうしてくれよう、この感情。
俺は理乃ちゃんに遊ばれる運命なのか。
「時々、咲良に会うんだよ。あまりにも元気すぎてさ、こっちが疲れちゃうくらいで」
「へえ。咲良らしい」
「あれはカラ元気ってやつだよ」
グサグサと俺の心臓を遠慮なく刺してくる理乃ちゃんの攻める喋り方。
さすがだ。俺はすでに瀕死の状態だ。