【完】螺旋のように想いを告げて
「ところで、名前は? あんたは俺のこと知ってるみたいだけど」
「名か。どちらにしてもワラワはすぐにいなくなる。必要かの?」
「気になるだろ」
「……姫巫女。皆はワラワをそう呼ぶ」
確かにそんな感じの姿。服装から喋り方まで姫巫女。ただ、本当の名前を教えるつもりはないようだ。
「わかった。姫巫女さん、話を聞かせてくれ」
姫巫女は月を見上げる。
俺のことなど無視して、まるで月と会話しているみたいに優しい顔をした。
やがて目線を戻した姫巫女は、俺を上から下まで眺める。
「お主には最近、辛いことがあったようだの」
「だったら、なんだよ」
「満月の夜。お主のような者が、ここに来るのだ」
「来るって? 俺は自分の意思で来たし、操られてるみたいに言うな」
気味悪い、という言葉を俺は飲み込む。
姫巫女に睨まれたから黙っておいた。