私と二人の物語
第10章
それから少し普通と呼べる日々が続いて、悟の描く私の絵も少し描き進んだ。

その絵が完成したら、個展を開くはずだけど、彼は、その事を一言も口にしなかった。

それを口にしないのは、不安だとか負の方向からじゃない。

それは今ならはっきりわかる。

だから、私の心の中の何かも、膨らむばかりだった。

しぼむことがないことは、私にとって、重荷にもなっていた。
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