私と二人の物語
第12章
ある日、そろそろ悟の家に行こうかと思っていた頃、病院の父からお使いを頼まれた。

私は軽くため息をつくと、その忘れ物という書類を持って病院へ向かった。


トントンと院長室のドアをノックすると「どうぞ」と父の声が聞こえた。

私が中に入ると、応接のソファーに私服の篠田さんが座っていた。

「あ、こんにちは」

「こんにちは」

私は彼に軽く頭を下げると、父に書類を渡した。

「わざわざすまないな」

「ううん」

私は篠田さんの方をちらっと見て、

「じゃあ、私はこれで」

と、頭を下げて出て行こうとした。

「なんだ?この後、何か用事か?」

父がそう言って私の答えを待った。
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