もう泣いてもいいよね
「じゃあ、おれたちはとりあえず図書館でも行くか」

「え?図書館?今時、まずはネットでしょ?」

「…そっか」

タケルが気付かなかったなという顔をした。

フリーライターって言ってたけど、どうやら足で稼ぐアナログタイプらしい。

タケルらしいか。



パソコンを起動し、ネットに繋げた。

…はずだった。

だけど、何も反応しない。

「あれ?」

「どうした?」

「なんか、ダメみたい。壊れちゃったかな?」

「じゃあ、やっぱ、図書館だな」

タケルが勝ち誇ったように言った。

「しょうがないなぁ~」

何かくやしいけど、必要な時に限って壊れる家電って、よくあることだ。



とりあえず、近くの図書館に行った。

そこは、たまたま中央図書館なので大きい方だ。

道路に面した壁は全てガラスになっていて開放感がある。

書棚がずらりと並び、蔵書はかなりあるようだ。

「うわーすっげー数…」

タケルが子供みたいなことを言う。

「何?タケルはいつも調べ物に使ってるんじゃないの?」

「なんで?」

彼がきょとんとする。

「もういいよ」

図書館って自分で言ったんじゃん…


私は、変に感動しているタケルをほっといて、書棚の横の表示を見ながら、「歴史」や「郷土史」など、それらしいところを見て回った。

「タケル、この辺見て」

「はいよ」

片側の書棚をタケルに任せて、私も片っ端から見ていった。


その時、向こうから数冊の本を持った一人の男性がゆっくりと歩いてきた。

私は避けたが、その男性はまっすぐ歩いてきたのでぶつかってしまった。

彼は少し驚いた顔をしてこっちを見た。

「あ、すみません」

私は一応謝ったが、彼は謝りもしないで私を見ていた。

そして、ちらちらと私を見ながら、そのまま行ってしまった。

何なのよ…
 
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