黄金のラドゥール
噂は白亜の神殿にも伝わっていた。

「彼に会います。」

『確か彼はコウジュン皇子の使いだと言っていた。』
神官長ミムリは門前で今日も待つ、コウジュン皇子の使いだと言う武官をやっと招き入れた。
会えないと伝えても、毎日こうして訪れて来ては夕刻まで面会を求めてきていた。

ミムリは手元に視線を戻した。
城からの文書が届いている。
コウジュン皇子の婚姻の儀式がふた月後の満月の夜に決定したという知らせだ。
前回も今回も、異例であるが儀式を皇太子が執り行うとしているため、日程も皇太子が決定したものだった。


扉が叩かれた。
「神官長様、お連れしました。」


「通してください。

下がってよろしい。」


通された男は、案内の者が去った後も礼の姿勢で頭を下げたまま言った。
「先日は大変失礼致しました。」

「楽にしてください。
実は、お話がありお呼びしたのです。」
ミムリは言った。

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