黄金のラドゥール

朝焼け

ハルはまだ寝ている。
夜明けの空気にシャツだけでは肌寒いが、返って頭が冴えてくる。
羽織るものを手に執務室へ向かう。



白く整然とした部屋に光が差し始めている。空が朝焼けでに染まってゆく。
この時間が好きだ。


席につき書類に目を通す。


日中はハルに付いている。目を通さなければならない件はなるべく彼女が眠っている間に済ませておきたかった。







急ぎの案件はほぼ処理できた。

さて。

ひと息つこうとペンを置いた時、


一通の書状に目が止まる。

昨日届けられた皇太子からの書状だった。


「そうだったな。」

他の案件とは別に置いたのを思い出す。

内容は既に確認済みだ。
だがその内容が問題だった。



その時ふと、寝室から物音が聞こえてきた。