黄金のラドゥール
その後に続いたいくつもの足音。


見慣れない姿に呆気に取られていると、ぐいっと身体ごと引っ張られ、目の前が真っ暗になった。

「??」

「無事か?」
すぐ傍で声がした。さっきと同じ声だった。ようやく背中に回されたのが誰かの腕で、自分は誰かに抱きしめられているのだと分かった。離れたいのに、身体に力が入らない。

「無理に動かない方がいい。
今は熱で辛いはずだ。」
「ねつ、、?」
あ、それで、、通りで身体が重いはずだった。

そっと身体が離され見上げると、最初にこの部屋に入ってきた男の人だった。
その人にしっかりと身体を支えられている。
青い瞳だった。

「、、だれ、、?」


「案ずることはない。」

ーーーだれだろ、、このひと、、?


「安心して、もう少し眠るといい。」

危ない人じゃないのかな、、
頭までぼんやりしているようだ。
そのまま横倒しにされ、肩まで引き上げられた布でしっかり包まれる。

大きな手が頭に載せられた。
その手が冷んやり心地いいと思ってしまうのは、熱が随分高いのかもしれない。


「コウジュン様、すぐに医員が参ります。」


コウ、、ジュン、、?


、、そこで意識が途切れた。
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