黄金のラドゥール
放たれた刃
執務室のある塔の下、そこには小さな庭があった。いつも静かなその庭が、この日は違っていた。

栗色のやわらかな髪が陽の光を受けきらめいている。
薄茶の瞳がこちらを見上げる。
眩しいのか顔に手を添え、
もう一方の手をこちらへ振ってみせる。

そのそばには、ユンハがいる。
侍女のアユールと、最近出入りするようになった神官長ミムリの姿もある。

なんだろう、この妙なムカムカは。

「まるで子供だな。」
そう言うと胸にざわつきが広がった。

ユンハは警護のためハルのそばにいる。
わかっている。
だが近頃のユンハはーー

明らかに違っている。
ハルに対して。




「さようですか?」

「っ」




「皇子も嬉しそうに手を振り返していらっしゃいましたよ。」

「あぁ、、そうか?」
「はい。」
「そうか。」
心の声が漏れていたのかと焦った。

「楽しそうでよかった。」

「ええ、みな楽しそうですね。」
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