黄金のラドゥール
大広間はすでに多くの来賓客を迎え入れていた。
色艶やかなドレスのその向こう、一段高いところに国王の姿が見えた。


コウジュンはぐっと足を踏み入れようとした。

「お待ちください!」
「何故止める!?」

ガインだった。

「どうなさるおつもりですか、皇子!
国王陛下に儀式の開始を遅らせるよう懇願されるおつもりですか。それは皇太、、あの方の思うツボではないですか!」
小声だがはっきりとした口調でガインは彼の歩みを遮る。
「傍観してはいられない。この間にもハルは、、!」
コウジュンは苛立たしげだ。
「ハル様はご無事です。」
「な、、っ!」
「きっとご無事でいらっしゃいます!」
コウジュンの安堵しかけた表情は一気に曇り、口は真一文字に結ばれた。

「天からのラドゥール様ですよ。あの方と言えど、どんな災いが起こるかわからない真似はなさらないでしょう。」

そんなこと、コウジュンには信じられなかった。
ガインにしても、皇太子リジュンがそんなことに構って自身の企みを止めるような者でないことはわかっていた。
だが、皇子の従者として、今この儀式を皇子自身の手で潰させるわけにいかないのは確かだった。
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