黄金のラドゥール
パタンとガインが扉を閉じると、コウジュンは口を開いた。


「ユンハ、ハルについて調べるのだろう?」

「・・・」

「許可する。
ニホンと言っていたな。
何かわかれば、いやわからずとも子細を報告してくれ。
ガインもだ。社交界からわかることがあればそちらも知らせるように。」

「よろしいのですか?」
ユンハの問いにコウジュンはふっと笑った。

「止めたところで、調べただろう?

それに私は、彼女が皇太子の手の者では無いと踏んでいる。だからこそ、受け入れたのだからな。

あの時、、それだけが生き残る道だと確信した。

だが、それには確証がない。

願わくば、皇太子の手の者でなければよいと思っている。
お前たちの調査でそのことがハッキリするよう期待している。」


ふたりは静かにうなずいた。

ユンハとガインにしても、皇太子リジュンの執拗な毒牙からコウジュン皇子を守らなければならない、それは明確な使命である。
正体不明の女など、傍に置いてはおけない。


「かしこまりました。
ニホン、私も聞いたことがありませんが。
肌の白さから、どこか北方地域に新興国か接触したことのない民族がいるのかもしれません。その辺りから、すぐに調査致します。」
ユンハは踵を返し部屋を後にしていく。

「私も。」
カイルが後を追う。




『皇太子の手の者でなければよい。

でなければ、、

でなければ、本当に、、?


まさか、、』

コウジュンは窓から遠くを眺めた。
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