黄金のラドゥール
コウジュンは深く息を吐いた。
「皇子?」


「なんだ。」

こぼれ落ちた涙を見て胸が痛くなったのだろうか?
コウジュンは頭を振った。

ハルの正体がどうであれ、
正妃にしなければならないことに変わりはない。

正妃には、
慈しみ、幸福のうちに守ってやりたい、
そう願ってきた。

なおさら先ほどの告白が悔やまれた。


「天から降りてきた娘など前例のない、いや、初代にはあったらしいが、真偽はわからん。」

「皇子、」
それは口にしていいことかユンハは懸念した。

「出来うる限り、手助けしてやってくれ。
ユンハ、私で無理な時はお前も。」
頼んだ、とユンハの肩に手を載せた。
「皇子、、」


ーーー『利用している』など。
あまりに正直すぎた。

だが言わずともハルは疑問に思っていただろう。ハルにも私にも、生き延びるには協力し合うしか道はない。

< 56 / 238 >

この作品をシェア

pagetop