黄金のラドゥール
白亜の神殿
ユンハは白亜の神殿を訪れていた。
代々王家の水鏡である湖を守り、管理してきた白亜の神殿、緑の蔦がきれいに絡められた門扉をくぐり、神官を待っていた。

程なくして、ひとりの小坊主が現れた。
「お城からお使いの方とお聞きましたが。」
男とも女ともとれない、中性的な感じの声だった。
服装はここに来るまでに見かけた神官達の物とは違い、簡素で、きれいに剃り上げられた頭をしている。それにまだ若そうで体格は小柄だ。奉公し始めたばかりなのだろうか。見ためにも男とも女ともつかない。

「申し訳ありません。神官ルギアは生憎ここにはおりません。
お城からのご用で出向いております。」

「城での用とは?」

「わかりかねます。」

「呼び出したのはどなたか?」

「・・・。」

無言の小坊主をそれが返答ととったユンハ。
< 91 / 238 >

この作品をシェア

pagetop