嘘つきな恋人
なんとか、滞りなく仕事を終え、
(先輩ナースにカバーしてもらった気もするけどね。きっと気のせいじゃない。)

ノロノロとひとりで着替えて病院の職員入り口から外に出ると、

少し予想していたけど、裕人さんが待っていた。

「美鈴。少し話そう。」と私の顔を覗く。

「いいですよ。私も聞きたいことがあったし。」

と少し微笑んでで見せたつもりだったけど、

「悲しい顔をさせてごめん。」

と言って私の手をそっと握って駐車場に停めたあった車の助手席に座らせた。

「さっき、ドラゴンとさくらちゃんに怒られてきた。
美鈴を傷つけるなって。
どういうつもりだって…。
今の俺はさ、周りにどんなにオンナがいても、美鈴しか好きじゃないよ。
他に付き合ってるオンナも、セックスするだけの相手もいない。
それだけは信じて欲しい。
美鈴を愛してるんだ。傷つけたかった訳じゃない。」

「…私も裕人さんが好きです。」

と言って、やっぱり涙が溢れた。

裕人さんが静かに私の頬を撫でてから前を向き、

「でも、俺は嘘を付いてた。」

と小さな声を出して、車を発進させた。

…やっぱり

…嘘 付いてたんだ…

私は車のシートに深く座って目を瞑り、
静かに涙を流し続けた。
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