【完】こちら王宮学園ロイヤル部
──約5時間前、18時。
ホテルに到着したわたしたちが通されたのは、100人ほどの規模で使える披露宴会場。用意されていた豪華ビュッフェは、本当に言葉通り豪華だった。
和食、中華、フレンチ、イタリアン。
高校生が普段容易に食べられる値段じゃないだろうそれらに、みんな大はしゃぎで。
わたしと先輩はそういうタイプじゃないからはしゃぐわけではなかったけど、それでも料理はしっかり楽しんでいた。
さすが高級ホテル。料理は本当に美味しくて。
「あいつらに嫌味で写真送ってやれよ」と楽しげに笑った先輩の言う通り、豪華なそれらを撮影して夕帆先輩に送ってみたら。
即効で『飯テロやめて』と文句がかえってきた。
──3時間前。
豪華ビュッフェの中にはスイーツの数も豊富で、特に女子が食後のスイーツに盛り上がり。
「お前そういうところは女子だな」
わたしも例に漏れずスイーツを楽しんでいたら、大和にそんな失礼なことを言われ。
みさとに「こんな彼氏でいいの?」と聞いて、大和に怒られたりして。
──2時間前。
あっという間に終わった食事タイム。観光したのと同じで3時間あったはずなのに、食事の方が早く終わった気がするのは楽しかったからだ。
そこからホテルの前でバスに乗り、約1時間前に学校へ到着。
先生の軽い話と「気をつけて帰れよ」という言葉のあとに解散し、約束通り先輩に家まで送ってもらった。
──30分前。
「外寒いので、どうぞ。
ホットコーヒーでも淹れましょうか?」
「……いや。話が終わればすぐに帰るからいい」
マンションまで送ってもらった上に話があるなら、と。
先輩を家に通し、リビングで向かい合うようにしてソファに座った。
家に先輩とふたりきり。
そんな状況が、変にわたしの鼓動を乱していたからだろうか。