【完】こちら王宮学園ロイヤル部



しみじみ。

つぶやいたいつみ先輩に、「いつみ先輩は理由知ってるんですか?」と聞けば、彼は否定した。



いつみ先輩も、彼の呼び分けの理由は知らないらしい。

でも、わたしといつみ先輩と椛が同じで、莉央と夕帆先輩が一緒のものって……?



「あーっ、つかれた」



「……夕帆先輩もどってくるの早くないですか」



「だってああなったらルノは意地でも言わないだろうし。椛が追いかけてるから放っておくわ。

で、ルア。結局違いはなんなの?」



追いかけるだけ追いかけて、あっさり戻ってきたらしい。

……一体ルノはどこまで逃げる気なんだろう。



C棟の中だけならまだしも、外に行ったらあの格好は寒いんじゃないだろうか。

ふたりともブレザーはこの部屋に置きっぱなしで、シャツの上にカーディガンだけだ。




「んっとねぇ、

特に尊敬してる人は先輩よびなの」



そんなルノの努力も虚しく、夕帆先輩に尋ねられてあっさりバラしてしまうルア。

……あとでルノに怒られるんじゃ。



「……は?そんだけ?

別に逃げるほどデカい秘密でもねーだろ」



「ルノは、いろはに知られたくないだけだよ」



……ああ、なるほど。

だから椛がいなくなった今教えてくれたのか。



すごく尊敬、なんて。

言われるほど大したことはしていないけれど、それでも彼の中に色々と差があるらしい。



「照れ屋さんだから、いわないけど。

ほんとはね、ルノは、すごくいろはのこと信頼してるから」



< 535 / 655 >

この作品をシェア

pagetop