【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「ほら、こっちおいで」
すこしひらけたスペースへわたしの手を引いた夕帆先輩。
自分の買ったものが入った袋を遠慮なく地面に置いて、わたしの持つ袋を手早くまとめてくれる。
「すみません……ありがとうございます」
「いいのいいの。
っていうかあんたさぁ、こんなに持って帰って部屋のクローゼット入んの?」
「……洗濯するならローテーションするからだいじょうぶかな、と」
「それ要するに洗濯してない状態なら入らないってことよね」
図星をさされて、うっと言葉に詰まる。
そんなわたしを一瞥してため息をついた彼女は、「うちに置けば?」と一言。
「え、」
「あたし一人暮らしだし、荷物少ないし。
いま必要最低限の服しか無いから、こうやって買い物来て新しい服揃えてるし」
進学先が決まった彼は、いつみ先輩が一人暮らしをはじめたのと同じマンションで、一人暮らし。
住んでいる階は違うのだけれど、元々は広いんだからふたりで住めばよくない?という話もあったらしい。
だけど、いつみ先輩が前々からそこに部屋を借りていたのに加えて。
わたしが夕帆先輩と付き合っているから、という理由で、わざわざ別々の部屋を借りてくれたみたいだ。
ふたりで部屋をシェアするなら家賃とか色々半分になっただろうに、申し訳ない……
ハワイから帰国して王学を卒業するまでは寮生活することになったわたしが、まさかの来年度の生徒会長。
そのため、
現在は王学のC棟に住んでいるのだけれど。
「しかもあんた、平日は制服でしょ?
なら尚更、寮に置いといてもどうしようもないじゃないの」