一輪の花を君に。2nd
#2
ーside美空ー



気がつけば、月日が流れ5月を迎えていた。



入院してから1ヶ月が経ち、退院が決まった。



2週間前から、熱も下がりずっと経過観察をしていて異常がなかったため退院が決まったらしい。




「美空、まだ食欲は戻ってないみたいだけど大丈夫か?


家で、少しずつ食べられるか?」






「大丈夫。


先生と、一緒に練習したように少しずつ食べられる物を食べていくようにするよ。


それに、もう入院は嫌だから。」






「ははは。そうだな。


美空、無理はするなよ。」





「ありがとう。」




「美空ー!


迎えに来たよ!」






「香音、理人。ありがとう!」






「珍しいな。大翔君が来ないなんて。」






「あ、大翔は今準備してて。」





「準備?」





私の頭の上にはハテナがいっぱいだった。





「あ、そうか。」




先生は、何かを察したかのようにそう答えた。





「今から、退院後のお話をしたいんだけど、誰か一緒に聞いてくれるかな?」








「じゃあ、みんなで話を聞きます。」






「そっか。じゃあ、談話室に行こうか。」






「はーい。」





私はそう返事をして、談話室へと向かった。






先生の話は、いつもながらわかりやすくて丁寧だった。





「分かった?美空。」






「はい。」






「美空、血圧の上昇や低下が少しでも現れたら必ず連絡して。



あと、風邪を引いたり熱がでたら呼んで。




それから…




辛いことがあったり、話したいことがあったらすぐに言って。




約束してくれる?」






「うん。」






「理人君、香音ちゃん。美空のことよろしくね。」





「「はい。」」





相変わらずの心配症なんだから。





「それじゃあ、これで終わりだけど何か聞きたいことあるか?


よし。じゃあ、車に荷物乗せて帰ろうか。」





「「「はい!」」」




「皆いい返事だな。」




車に荷物を乗せ、車に揺られること15分。




家に着くと、珍しく家の中は賑わっていた。





「えっ?」





「ほら、美空。入って入って。」





香音に背中を押されながら部屋の中に入ると懐かしい人達が揃っていた。




「七瀬先生。千鶴先生も!どうして?」





「美空が、今日退院って聞いたから。」





「だって、千鶴先生。みんないるのに大丈夫ですか?」





「今日は、何も心配しなくていいのよ。


みんなのことは、他の職員に任せてきたわ。」






「そう…なんですか…。」






「美空、退院おめでとう。」





「七瀬先生…。ありがとうございます。」






香音「さぁさぁ、美空。座って。



中森先生も!」






「ありがとう。」






大翔「それでは。美空、退院おめでとう!」







皆に、祝福されて乾杯をした。





それから、色んな話をして一夜をすごした。





やっぱり皆大好きだな。





何年経っても変わらない皆が大好き。





幸せを感じながら、私は眠りについていた。
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