シンデレラの魔法は解けない




あたしのストーカーの件も解決していないが、仕事部屋を荒らされた平さんが、心身ともに心配だ。

真也さんの言う通り、ストレスがたまってブチ切れてしまうかもしれない。





「あたしが、平さんに出来ることはないですか?」




平さんは少し驚いた顔であたしを見る。

その形のいい瞳にまっすぐ見つめられると、こんな時なのに顔がぼっと熱くなる。




「平さんはいつもあたしを助けてくれます。

でも、あたしは平さんに恩のひとつも返していません」



「藍ちゃんは俺の大事な資料を拾ってくれたよね?」



「そんなの……当然のことです」


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