シンデレラの魔法は解けない







「どうしたんだ、急に呼び出して」



「あー……なんかむしゃくしゃして」




聞いたことのあるような声がした。

だが、あたしの記憶の中にあるその声より、ずっと尖って荒っぽかった。

煙草の匂いもして、むせそうになる。

ここの場所はやめよう。

そう思うが、




「俺の本性を知ったら、あいつ逃げるだろうな」




再び発せられたその声に足を引っ張られる。

そして、無意識に再びベンチに腰かけていた。



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