ゴールドハンド 罨
戸惑い
遥香は、堪えきれず…





…悶絶した














どれくらいの時間が流れただろう…











「…い、…、おいっ、……おい!」


自分を揺り動かす青年の声で、
遥香は、意識を取り戻した。


「大丈夫かっ?!」

「あ…、う、うん…」


「そんなに…良かったのか?」


青年の問い掛けに、遥香は、深く頷く。


「え…、、……

そうでも無いはずだぞ。あんたの手に比べたら…
にしても… …すげぇな… あんたの、…液」


青年の言葉に、
遥香は、恥ずかしさで 自分の顔を両手で覆う。



「あ、いや、
じゃなくて…比べなくても凄…じゃなくてっ、

…ていうか、、今さら?!」


「ごめん…」

「あっいや、、謝ることは…ない…ですよ。。
こっちは、…ありがとう…です。

てゆうかさ、…」


「…ん?」

遥香は、顔を覆う指の隙間から 青年を窺う。



「お互い、名前も知らない…見ず知らずなのに、、
………、
凄いこと、…しちゃったよな」


青年の言葉に、遥香は、また顔を覆った。


「もういいだろ、顔を隠さなくても。

俺の名前は、角替 漣(つのがえ れん)。
あんたは?」


「あっ……、
伊野瀬 遥香(いのせ はるか)」


「よろしく」

「…よろしく」

「はるかって名前なんだぁ。あん って感じ」

「へ?、あん?、、なんで?」

「んー…、なんでだろ」

「?…」

「まぁ…、よくあるんだよ、俺。こういう発想」

「そうなんだ…。感性…ね」


「まぁね。

それにしても、アレは何だったの?」


「…?アレ?」


「うん。
電車に乗ってるとき、急に、
俺自身が 快感に襲われたんだ。

その後、
あんたの視線を感じて…、

あっ!

あんたの手、凄かったし、
それと関係してる?!
あんた、超能力とかあるの?!」


「いや、……普通に、無いと思うけど」


「あっそっか。。

あっ、俺、いいこと思い付いた。
遥香とのこれも、縁かもしれないな」


「??」

“もう…呼び捨て!??”


「遥香の“手”を、商品化したい。
それと、遥香の“液”も


遥香のお蔭で、
うちの会社の新しい商品、思い付いたよ」


「かい…しゃ?
学生じゃないの?それ、高校の制服だよね」

「あぁ~そうだよ、俺は高校生。
厳密に言えば、俺の親父の会社」

「へぇ~。お父さん、会社経営してるんだ」

「うん。

俺、後継者だからさ、もう既に、けっこう発案出してるんだよねっ」

「へぇ~、そうなの。
なんの会社なの?」

「大人の玩具を作る会社」

「へ?…」


知らないわけではないが、
身近に無いことに、
遥香は、言葉に詰まった。


そんな遥香に御構い無しに、漣は、喋り続ける。



「手の商品化は~…、
すぐには難しいなぁ…。。

遥香自身を、芸名付けて 有名にするか」


「へ?!」


「液は~… 蜜に例えて…
遥香、いい香りするし…
馨る…蜜…、、、…ローション…
あん って感じだから~…
あんみつ… ………、患部を…“覆う”意味の 罨 …

そうだっ!

『馨るローション・罨蜜(あんみつ)』

これいいや!
今度の新商品会議で、提案するねっ。

馨りは~…、柔度は……どんなのにしようかねぇ。
ビックリするようなのがいぃんだよねっ、
使った人が、想像もしないほど驚くような。

あっ!
今度の会議っ、あんたも来てよ!」



「へっ!?」


「共同開発者として!」



意味不明な急展開に、
遥香は、驚愕に目を丸くした。



“縁かも……って、、、この人、

やっぱりっ 拓斗に似てるっ……”



遥香は、戸惑いとともに、
とても不思議な感覚に どっぷりと浸かった…



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