インタビューはくちづけの後で
翌日、また、黒塗りの車が私の家に迎えに来たけれど、

副社長は車の中にいなかった。

「…あの…瑞希さんは…」

「お部屋にいらっしゃるようです。会社にお送りするよう言われて参りました。」と運転手さんは静かな声で言った。

「…わかりました。」と返事をし、流れる景色を眺める。



なんだか…調子が狂っちゃうな…

この2日間ずっとそばにいて、楽しそうに私の顔を覗き込んでいたあの瞳が

少し、恋しいんだろうか…

強引で、俺様で…でも、ずっと優しい眼差しだった。



私は昨日降りた場所で車を停めてもらい、急ぎ足で出社した。

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