インタビューはくちづけの後で
翌日、一緒に出勤して社長室に行き、
「結婚します。」と瑞希さんは社長に報告した。

「そうか。初恋は実らない物だと言われているがな…」と笑われ、

「…初恋の相手ではなかったのかもしれません。」と私が笑い返すと、

「どこのどいつが初恋の相手だ!?」と、瑞希さんが私に詰め寄ったりして

「瑞希、おまえはもう少し冗談を理解しろ」と更に笑われてしまった。


少し照れて顔を赤くした瑞希さんの
ヤキモチはちよつと嬉しいかも…
本当に私が初恋の相手って事で良いのかもしれない…と笑顔になった。


外すのが許されなかったエンゲージリングは広報部であっという間に広まっていき、

「惜しいねえ。独身イケメンと言われていたジュニアが
こんな子どもにすっかり骨抜きなんて…」とユリさんは私の頭をポンポンと撫で、

「ユリには俺がいるだろ。」と言った斎藤課長の笑顔に

「ええ?おふたりはご夫婦でしたか!?」と驚くと、

「旧姓で仕事してます。」とユリさんが笑い、

「芽衣ちゃんも旧姓で仕事すれば?」と私の顔を見た。

「旧姓って、まだ結婚していませんが…」と言うと、

「婚姻届ってもう用意してたと思うよ。
アメリカから戻る時に、エンゲージリングもマリッジリングも新居も書類も用意したって言ってたし」と斎藤課長は私の顔を見た。

「…嘘お?」と呟いていると、


「芽衣、飯に行こう。」と瑞希さんがやって来て、広報部は大騒ぎになった。

「おまえは入社前だろ。」と斎藤課長が呆れた声を出したけど、

「いや、さっき入社を済ませた。芽衣、飯行こう。」

「…じゃ、本当に副社長?!」とユリさんが声を出すと、

「そ。さっき副社長に就任しました。よろしく。」と私の手を取って、広報部を後にした。

「小柳さんは2時から会議だからな!ちゃんと広報部に返却しろよ!」と斎藤課長の大声が追いかけてくる。

瑞希さんは笑って私の手を掴んだままエレベーターに乗り込んだ。



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