溺愛までノンストップ〜社長の包囲網から逃げられません〜

その意味する行為がなんなのかわかり、頬を赤らめた私にチュッと音を立てるキスをして器用な足でドアを閉めた。


翌日、聖夜と一緒に出勤するとぎこちない動きをする私を支えるように腰に手を回して歩いて来た社長に、緒方さんの冷ややかな目が光るが聖夜は知らん顔。


「話がついたようでなによりです。ですが、仕事に影響しないように自重なさってください」


スッキリとした表情をした聖夜と、ロボットのような動きをして歩く私に釘を刺したようだ。


気を失うまで、離してくれなかったそこの男に今後の為にももっと注意してほしい。


隙をみては、キスを仕掛けてくるのだから…


緒方さんが社長室から出て行こうとするのでその背を追いかけるように歩いた瞬間、後ろ手に引かれ体を反転させられると甘く蕩けるキスを仕掛けてきた。


一夜で慣らされた唇は、自然と受け入れてしまう。


男の背に手を回し抱きつきキスに応えていた。


コホンという咳払いが聞こえるまで、数秒…


「社長、逆上せるのも結構ですが、昨日の分の仕事が溜まっていますよ。その調子が続くようなら桐谷さんには受付に戻ってもらった方がよろしいんではないですか?」


「嫌味な奴だ。仕事をするから麗美にはお前のサポートをさせろ。あんな男が出入りする場所に麗美を置いておけるか」


苦々しくつぶやき、デスクにやっと座った。


「よろしい…では、桐谷さん、社長に朝の飲み物をご用意お願いします」


飲み物を持って行けば、また2人きりになってしまうと気がつかないのか?


聖夜は、意味深に笑い


「麗美、熱いのを頼む」


と命令した。


あー、またさっきの続きをするつもりなんだとウキウキする気持ちを抑え、大きく頷いた。


「はい、熱いのですね」


「飲むまで時間がかかるから、麗美も仕事を持って来いよ」


2人の会話に緒方さんは呆れ顔で、


「ここがどこか忘れないでくださいね」


と、今度こそ出て行った。

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