最後の恋のお相手は
第二章 恋のご指名

社員食堂を閉めた後、緊張しながらエレベーターに乗り込んだ。最上階にある社長室。目の前まで来ると、緊張のあまりドアがノックできない。

「どないしたん?」

後ろから声をかけられて、ビクッとして振り返った。

「日向さん……」

小さな声で名前を呼ぶと、白い歯を見せてニヤリと笑った。

「もしかして、社長に呼び出された……とか?」

「そうなんです! 社長から、社員食堂の利用状況を聞きたいって言われたんです!」

「へぇー、それで?」

日向さんは、緊張する私の話を余裕の笑みで聞いてくれた。見た目はアレだけれど、もしかしたら高い役職の方なのかな?

「私みたいなバイトの人間が、社長と直接お話ししてもいいのかな……って」

緊張する気持ちを打ち明けただけで、少しだけ緊張感がほぐれた。

「それやったら、オレが一緒に社長室に入ったるわ」

日向さんが勢いよくドアをノックすると、中から女性が現れた。

「あっ!」

思わず、声をあげてしまった。中から出てきたのは、日向さんの彼女と思われる女性だった。

なるほど、日向さんが社長室のドアを躊躇せずにノックできたのは、彼女が社長秘書だから……か。

高い役職の人、というわけではないんやね。そう思うと、なんだかホッとした。




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