最後の恋のお相手は

いつもは憂鬱な月曜日。でも、今日は違う朝を迎えられた。

一回四十万円も払って、私とデートをした雄洋さん。身体を求められると覚悟を決めていたのに、手をつないだだけ。ベッドインはおろか、抱きしめることもしなかった。

一回四十万円ももらって、雄洋さんとデートをした私。久しぶりのデートに、たくさんのプレゼント。いい思いばかりで、とてもお金で買われた気はしなかった。

昨日の幸せな余韻に浸ったまま、化粧ノリもバッチリ。恋をすると綺麗になるってあながち嘘ではないかも?

「おはようございます」

月曜日の朝は少々機嫌の悪い国富さんにも、怯えることなく明るく挨拶ができた。

すべてがバラ色に見える。恋ってすばらしい。そう思う半面、お金で買われているのだから、雄洋さんと私の間には『愛』がなくて、疑似恋愛でつまらない。そんなふうにも思えた。

お金で繋がった関係だとしても、私は雄洋さんが好きで。でも、雄洋さんはどうなんやろうか? 『かわいい』とは言ってくれる。『かわいい』=『好き』ではないことに気づいていながら、幸せに浸りたい自分がいた。

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