わたし、結婚するんですか?
 戸惑いながらも遥久は、はね退けることなく、チャトランの顎を片手で撫でてやっていた。

 そんな遥久に笑うと、遥久はこちらを見、言ってくる。

「愛してるよ、洸。
 お前が嫌だと言っても、死ぬまでまとわりついてやるからな」

 そう囁きながら、やさしくキスしてくる。

 いやもう、本当に、

 ……不器用な人だ。

 そう思いながらも、洸は逃げることなく、遥久の首に腕を回し、そっと目を閉じた。

 甘えるようなチャトランの鳴き声を聞きながら――。





                      
                           完



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