わたし、結婚するんですか?
「あのー、課長。
 幾らなんでも、それは無理があるような……」

 遥久が薬のフリをして持ってきたのは、マーブルチョコだった。

 しかも、オレンジ。

「いけないのか」
と遥久はそれを手のひらに載せたまま、言ってきた。

 いや、いけなくはないですが……と思っていると、
「お前の顔が見たかったんだ。
 いけないのか」
とそう遥久は威圧的に言ってくる。

 いや……いけなくはないんですけど。

 何故、そのように脅しながら言ってくるのですか。

 緊張して、照れられないではないですか。

 しかし、自分の姿を給湯室で見かけ、マーブルチョコを手にかけつける遥久の姿を想像すると、可愛らしくもある。

 ……まあ、そんなこと、口に出そうものなら、殴られそうだが。

「お前にもやろう」
と遥久はザラザラッと円筒形の入れ物からマープルチョコを出してくれた。

「あ、ありがとうございます」
と両手でそれを受けた洸は、なんとなく高くかかげ、押しいただく。
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