わたし、結婚するんですか?
 課長が他の人とキスしているのを見ただけで、記憶喪失になってしまう私もまた、どうしょうもないほど、課長が好きなのに違いない。

「さっき、初めての夜のあと、キスのひとつもなく出て行ったときのことを思い出していたと言ったろう」
と言いながら、遥久は洸の部屋のドアを開けた。

 片手で洸の肩を抱いて、そこへ洸を入れる。

「いや、あそこでまた、キスしてしまうと、仕事に行きたくなくなるから、しなかったんだが。

 明日は休みだから、今日は心置きなくしよう」
と遥久は笑う。

 いやいやいや……と赤くなりながら後ずさりかけたが、肩を抱いている遥久の腕が洸を逃がさない。

 強引だなあ、相変わらず、と思いながらも、逃げる気持ちはもうなかった。

「愛してるよ、洸」

 そう囁いた遥久がやさしく口づけてきた。

 ドアから遥久の手が離れ、ゆっくりと閉まっていく。

 それを見ながら、洸もまた、そっと目を閉じた――。







                           完



< 368 / 368 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:242

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました

総文字数/122,008

恋愛(ラブコメ)521ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」  クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。  だが、みんなは彼と楽しそうに話している。  いや、この人、誰なんですか――っ!?  スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。  tomomocake様、素敵なレビューありがとうございましたっ(⌒▽⌒)
冷徹宰相様の嫁探し

総文字数/36,870

ファンタジー77ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)
「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

総文字数/122,621

恋愛(オフィスラブ)328ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「この店がうちの食卓となればいいんですよ!」  ある日の仕事帰り。  疲れていた|花守環奈《はなもり かんな》はいつもと違う場所で足を止めた。  チャトラの猫が歩いていくのを目で追っていた環奈は、細い道の向こうにあるカフェに気がつくが――。  偽装結婚ラブコメディ。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop