俺様社長の重大な秘密
それからは、幸への嫌がらせは無くなった。

楓が片時も離さないのだから、手出しもできないだろう。

「…あぁ、離れがたい」

会議前、楓は幸を抱きしめてボヤいた。

何時もは幸を隣に置いておくのだが、今日の会議は、どうしても西園じゃないと仕事がはかどらない。

「…心配し過ぎですよ。最近は全然嫌がらせは無くなったんですから」

苦笑しながら幸が言う。

「…このまま幸を抱きしめていたい」
「…社長、もう行きませんと、会議に遅れます」

西園も困り顔。

「…社長、遅れるって西園さんが言ってますよ。何かあれば、連絡しますから」

「…社長、でしたら、こうしましょう」

そう言って西園が微笑んだ。

…そして。

会議室、楓がまたボヤいた。

「…あの男に幸を託して、本当に良かったのか?今日の会議は、かなり長引くだろう?」

「…榊課長なら、大丈夫だと思いますよ。2度も、丸岡さんを助けてくれた人なんですから。社内で一番信用のおける人物は彼しかいないでしょう」

西園の言葉は最もだが、楓はやっぱり気が気じゃなかった。
< 25 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop