臆病者で何が悪い!




「……沙都」


吐息混じりに名前を呼ばれれば、体温は自然と上がって。


「身体、熱い」

「……ん」


だって、そんな声で呼ばれたら、もう、恥ずかしさも何かに抗う気持ちも、投げ出してしまいたくなる。


「沙、都……」


素肌に触れる生田の唇が、わたしを震わせて。
私も生田に触れたくなる。


この肩も、胸も、腕も、私だけの――。


そう思ったら、怖いくらいに幸せな気持ちになった。


「沙都、好きだよ」


触れ合う肌が溶け合って、境目がどこなのかわからなくなる。


「沙都……っ」


どこか苦しそうに表情を歪めた生田は、恐ろしいほどに色っぽくて、私はいとも簡単に陥落した。


「眞、す、き……っ!」


ぎゅっとその首にしがみつく。


「バ、バカっ、急に、そんな風に、呼ぶなよ――」


生田が額を私の首筋に埋め、堪えるようにじっとして――。


「我慢しないで。眞と、一つに――」


もう、うわごとのように言葉を零したら、最後まで言い終わる前に、唇を塞がれた。



――もう、どうなっても知らないぞ。


そんなことを、乱れた呼吸の間で言われて。


――どうにでもしてください。


と言った。



大好き。

世界中で一番、

私の人生において、ダントツ一位で、大好きです。



この先もずっと、死ぬまで。


ううん。

死んだ後もずっと――。

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