キミが可愛いわけがない
微妙な距離
(side 柚希)



「「あ」」


咲菜とケーキバイキングを出てからの帰り道。


見慣れた黒髪とスラッと高い身長を隠すような猫背の彼が目を見開いてこちらを見ていた。


毎日見てる顔をみてそんなびっくりしなくてもいいのに。


「柚希ちゃん?久しぶり!!」


固まった幼馴染みの横にいたスーツ姿の男性が笑顔で私の名前を呼んだ。



全然変わらない優しいその笑顔との思い出はすぐに思い出せる。


「翔也くん!」


「おう、よかった。覚えてた」


昔、芽郁の家庭教師をしてて、中学生の頃は私と芽郁のクラスに教育実習に来ていた翔也くんがホッとした顔でそういった。



「なんで芽郁と翔也くんが?」


「そこの本屋でたまたま会ってさ。柚希ちゃんは?お友達と寄り道?」


「うん!最近仲良くなったの!咲菜!」


私が隣にいた彼女の肩を引いてそう紹介すると、咲菜は少し肩をビクつかせてから慌てて挨拶をした。



「あ、こんにちは」


「どーもー。2人のことよろしくね〜咲菜ちゃん。あ、俺、そろそろ行かないとだから、じゃまた今度ゆっくりね!」



「あ、翔也くんっ!」


名前を呼んだけど、翔也くんは軽くこちらに手を振ってから早足で道を渡った。



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