キミが可愛いわけがない





「「ありがとうございましたー」」


家の前について、車を降りてから先生にお礼を言う。


「じゃあ、外に出ないようにね。河西さんは安静に。わかった?」


「「はい」」


「よし、じゃあね」


俺たちが返事をすると、先生は満足そうに笑ってから、車を出した。


「ユズ…」


「じゃあ、私はさっさと寝まーす!」


「は、ちょ、ユズ」


ユズは俺の声を無視すると、そのまま自分の家の門を開けた。


これ以上、話しかけてこないでということなのか、ただ単に体がだるくて早く寝たいのか、正直わからなくて。


俺はそんなユズの姿を黙って目で追いかけることしかできなかった。


行動しなきゃ何も始まらないことくらいわかっているのに。


体が全然動いてくれない。


今すぐユズのそばに走っていって、ずっと隣で見守っていたい。


それなのに。


怖い。


中学の頃にあった出来事のせいで、ユズは人の小さな言動にも過敏に反応するんだから。


俺の言葉1つで、全部を閉ざしてしまいそうなユズだから、今の関係が壊れるのが、怖い。


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