キミが可愛いわけがない


──────



ん?


渡り廊下からチラッと窓の外を見ると、見覚えのある男の子が1人でうずくまってるのが見えた。


あの子って…。


頭で考えるよりも先に、体が動いて。


私は校舎の階段を降りると駆け足で、男の子のいた場所に向かった。


私が倒れた日、運んでくれたのは彼だから、ちゃんとお礼、言わなきゃ。



「あのっ!」


丸くなった彼の背中に声をかけると、ピクッと肩が上がった。


「布施くん、だよね?布施 未来くん」


私が名前を呼ぶと、彼がゆっくりとこちらを振り返った。


メガネがよく似合っている。
というか…メガネをかけた彼しか知らないけど。


「あぁ、河西先輩っ!もう熱は大丈夫なんですか?」


よかった。覚えててくれた。
そりゃそうだよね。わざわざ保健室まで運ばせて迷惑かけたんだから。


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