蜜月なカノジョ(番外編追加)

「…え。ナオさん…?」

直前まであんなに余裕そうな笑みを浮かべていたのに。
何が彼にそうさせているのか全く理解できていない私の様子に、ナオさんが苦笑いしながらコツンと額を合わせた。

「杏はやっぱり恐ろしい子」
「えっ?!」

なんだかそのセリフ、久々に聞いた気がするんだけど…

「人一倍奥手で恥ずかしがり屋なのに、そうやってさらっと好きとか言うんだもんな。もう心臓がいくつあっても足りる気がしない」
「え…」

というか、それを言うならナオさんの方じゃ…
甘い言葉でいつだってドギマギさせられてるのは間違いなく私の方だと思う!

そんな心の抗議が伝わったのか、ナオさんはフッと目を細めてもう一度額にキスを落とした。
そうして鼻と鼻がくっつくほどの至近距離で、耐性のない人なら失神してしまうんじゃないかというほどの眩しい笑顔を見せる。

「今さらだけど、おはよう」
「おはよう、ございます」

一緒に起きてこうして面と向かって朝の挨拶をする。それはここ最近の日課となっていたことだ。

けれど今日は同じようで全く違う朝。
私達にとっての、新たな夜明けだ。

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