蜜月なカノジョ(番外編追加)

「すぐに結論なんて出さなくていいのよ。やっぱりナオとは一緒にいられないって思うならそうすればいいし、ずっと「女」としてのナオを求めるのならそれでもいいと思う。あいつは喜んでそれを受け入れてくれると思うわ。…もちろん「男」として求めたとしてもね」

その言葉にこれまでとは違う音で心臓が鼓動を刻んだのがわかった。

「今の杏ちゃんがナオの秘密を知っても一緒にいたいと思うのなら、結論が出るまでは今までと変わらずそうしてやってほしいの。あいつは絶対に杏ちゃんを傷つけるような事はしない。それだけは私が保証するから」
「……」
「ナオのことについては本人に聞けば何でも答えてくれると思うから。疑問に思ってることや言いたいことがあれば何でもぶつけてあげて」
「葵さん…」

目を潤ませながらコクンと頷いた私にほっと安堵の息を吐き出すと、葵さんはいい子いい子と私の頭を優しく撫でてくれた。


「さっ! そろそろ仕事の時間よ。気持ちを切り替えて今日も頑張りましょ?」
「……はいっ!」

葵さんを追う私の足取りは、昨日の出来事が嘘のように軽いものへと変わっていた。

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