蜜月なカノジョ(番外編追加)

「ほら杏、何してるのー。早くしないと遅れるわよ~」

呆然とその場に立ち尽くした私をちょっと呆れ笑いで椅子に座らせる。

…あれ? あれ? あれれ????
なんか…すっごく普通じゃない?
まぁちょっといつもより顔が近かった気はするけど…でもそれ以外に関しては至って普段と同じじゃなかった?
…って、あれ? 昨日のことって…もしかして……夢だったとか?

チラッと目線を上げると、いつから見ていたのかナオさんとバッチリ目があってお尻が浮き上がりそうにドキッとする。

「なぁに~? 私の顔に何かついてる?」
「いっ、いえっ! 今日もお綺麗だな~と思って…」
「あらっ、もーーう、杏ってば嬉しいこと言ってくれるんだからぁ!」
「……」

きゃっはははと喜ぶナオさんはやっぱりいつもと変わらない。まぁしいて言うなら若干テンションが高い?
とは思うけど、そんなのは日によって普通にある範疇内だ。

…なんだ。やっぱりあれは夢だったんだ。
そうだよね、私とナオさんがキ…キスなんてするわけないじゃない。
あれ以降普通に戻ってたのに。そんなことがあるはずないのに。

やだやだやだ! あんなふしだらな夢を見るだなんて恥ずかしい!
いくらナオさんが私をこの上なく甘やかしてくれて、そして私もそんなナオさんが大好きだからって…女として好きって言われたからって…そんな理由であんな夢を見てしまう自分が恥ずかしすぎる。ナオさんにも申し訳ない。

……けど、夢にしては妙にリアルな感触だったなぁ…

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