蜜月なカノジョ(番外編追加)

…でも、私はまだ男性としてのナオさんを圧倒的に知らなすぎる。
素顔を見せてはもらったものの、あれ以来基本的にナオさんはナオさんのままだし、男女としてのキスをされながらも、目の前にいるのはあくまでも女性としてのナオさん。
きっと見た目まで男を出し過ぎると私が怖がることを理解してくれてのことなのだろうけど…今の何とも不思議な関係がこのまま続いていいのだろうかと思ってしまう。

もちろん関係を変えていくには私が決断するしかない。
けれどいくら相手がナオさんとはいえ、長年私の心に巣くってきた闇を簡単に払拭することはできない。むしろ心から信頼し大事だと思えるナオさんだからこそ、もしも男女の関係になって結果的に全てが壊れてしまったら…。
絶対にないとは言い切れないことだからこそ怖いし躊躇ってしまうのだ。

失うくらいなら今のままの関係でいたいと思ってしまう私はやはり弱くてずるい生き物なのだろうか。

「はぁ…せっかく楽しい気分だったのにやめやめ! ナオさんだって葵さんだってすぐに結論を出さなくていいって言ってくれてるんだから焦らずに___…って、…あれ?」


車道を挟んだ反対側のビルの前にいる長身の男性。
あれは…

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