春色のletter
「さっきの事も、気にするな…と、言いたいが、やっぱ、それじゃだめだろう」


「すみません…」


「悔いのない仕事をした方がいいと思うんだ」


「……はい」


彼は珈琲をまずそうに飲み干すと、私の肩に手を乗せ軽くぽんぽんとして部屋を出て行った。


休憩室には私だけになった。


足元まで遮る物のない全面の窓ガラスからは、新宿の街並みが見下ろせる。


夕方の黄ばんだ光がその街並みを輝かせている。


でも、地上27階のこのオフィスからの眺めも、今日が金曜日だということも、私には慰めにならなかった。
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