HARUKA～恋～

「うわ、すっげー！マジ異世界じゃん」


宙太くんが大きな歓声を上げた。



バスから降りると、そこには豊かな自然が広がっていた。

たくさんの木々が鬱蒼と生い茂り、そこに溶け込むように宿舎がある。

それだけじゃない。

山を下れば青く澄んだ広い海が広がってるんだ。


普段とは一味も二味も違う空気感に私は圧倒された。


「遥奏見ろよ!すげぇよ、ここ」
　
「オレ、頭痛い」

「しっかりしてくれよー。これから楽しい楽しい３日間がやってくるんだぜ？！まだ始まったばっかなのにそんなこと言うなよ～」


とか言いつつも、１番心配しているのが宙太くん。
遥奏くんの荷物を持ちにすぐさま駆け寄る。


「アオハル～、手伝って～」

「分かった。今行く」


バスのトランクから自分の荷物を探し出し、私は彼らの元に急いで走って行った。





こうやって誰かに必要とされるのが私にとって最大の喜び。
だから私は彼らの近くにいたいと思う。


こんな風に思ったのはいつぶりだろうか？　


私の心の奥底に眠っていた感情を彼らが引き出してくれた。

彼らと私の出逢いは今となっては偶然じゃなく必然だったんじゃないのかなって思う。

私が私を見つけるために、必要不可欠だったと勝手に想像している。





遥奏くん…






私はキミを…







キミを見つけたんだ…






私を照らしてくれる太陽のようなキミを…

　







「蒼井さん、迷惑かけるかもしれないけど、何かあったらよろしくね」

「アオハルと俺がいれば大丈夫だ！心配しないで楽しもうぜ！」







空には雲一つない。
真っ青な空がどこまでもどこまでも続いている。


午前9時12分44秒。

爽やかな風が夏を呼び寄せた。